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専門外来のご案内 : 顔面神経麻痺

目次

顔面神経麻痺とは

顔面神経麻痺とは

顔面神経麻痺とは、原因不明の病気で治療法も確立されておらず悩み続ける患者さんが多くいました。しかし、原因の追求、治療の確立が一歩ずつ進み、2011年、顔面神経麻痺の治療ガイドラインが作成され、さらに改訂版として2023年版が公開されました。また、改訂版の中には鍼灸治療の効果も改善され、詳しく明記されるようになりました。

顔面神経麻痺とは、顔の筋肉を動かす神経である顔面神経(がんめんしんけい)が急に機能しなくなり、あるいは徐々に機能しなくなり、目が閉じられなくなったり、口元が垂れ下がったり、お茶を飲んでも口元からこぼれたり、自分の顔が歪んでいるように見える病気です。

顔面神経麻痺を引き起こす原因となる病気のうち、約70%は、Bell麻痺(ベル麻痺)とHunt症候群(ハント症候群)と呼ばれる病気です。その他、真珠腫性中耳炎やその手術による顔面神経麻痺の障害(損傷)、糖尿病や膠原病の症状として現れることもあります。

Bell麻痺(ベル麻痺)は、30代、50代に多く、Hunt症候群(ハント症候群)は20代、50代に多い傾向にあります。小児においては男児より女児に多い傾向にあります。また、妊娠中、特に妊娠後期においてBell麻痺が生じやすいといわれています。
そして、出産後、1年は出産による体力の消耗、抵抗力の低下から顔面神経麻痺や突発性難聴などの病気、症状が現れやすいので注意が必要となります。

顔面神経麻痺の種類

顔面神経麻痺の原因で、特に多くみられるものは、Bell麻痺(ベル麻痺)とHunt症候群(ハント症候群)であり、全体の約70%を占めています。

顔面神経麻痺の原因を大きく分けると、末梢性と中枢性に分類され、細かく分けると、以下のようになります。

顔面神経麻痺の原因

1.末梢性

  • 特発性
    Bell麻痺(ベル麻痺)
  • 耳炎性
    急性中耳炎、慢性中耳炎(特に真珠腫性中耳炎)、中耳結核
  • 感染性(ウイルス性)
    Hunt症候群(ハント症候群)、Bell麻痺(ベル麻痺)、水痘(水疱瘡)、流行性耳下腺炎(ムンプス:おたふくかぜ)、多発性神経炎、HIV感染
  • 感染性(細菌性)
    髄膜炎、ハンセン病、破傷風、梅毒、Lyme病
  • 外傷性
    側頭骨骨折、顔面外傷、周産期外傷
  • 手術損傷性
    小脳橋角部・内耳道内の手術(真珠腫性中耳炎など)、中耳手術(真珠腫性中耳炎など)、耳下腺手術、顎下腺手術
  • 腫瘍性
    小脳橋角部腫瘍、顔面神経鞘腫、中耳癌、耳下腺腫瘍
  • 全身性疾患
    糖尿病、サルコイドーシス、重症筋無力症、甲状腺機能低下症、膠原病
  • 神経疾患性
    多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ギランバレー症候群、球麻痺
  • 先天性
    サリドマイド症、口角下制筋形成不全

2.中枢性

  • 脳血管障害性
    脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞、Wallenberg症候群(ワレンベルグ症候群)
  • 先天性
    橋延髄形成不全

顔面神経障害患者の原因と頻度

Bell麻痺(ベル麻痺)53%
Hunt症候群(ハント症候群)14%
外傷性5%
手術損傷性5%
腫瘍性5%
耳炎性4%
先天性1%
中枢性0.4%
顔面痙攣(けいれん)6.6%

麻痺発症のメカニズム

Bell麻痺(ベル麻痺)、Hunt症候群(ハント症候群)は、近年、初感染時に膝神経節に潜伏感染したHSV-1:単純ヘルペスウイルス1型(VZV:水痘帯状疱疹ウイルス)が再活性することにより発症すると考えられています。

顔面神経は、再活性したウイルスにより、神経炎を生じて腫脹し、細い骨性の管である顔面神経管の中で絞扼されます。この状態は、顔面神経の虚血を進め、浮腫を増悪させ、神経の腫脹がさらに進行してしまいます。この悪循環によって顔面神経の障害が進行して麻痺が生じ、さらに神経変性へと進行するものと考えられています。

要は、顔を動かす神経が炎症を起こして腫れ上がり、神経に血が通わなくなることでむくんでくるとさらに神経を圧迫する。この悪循環によって神経が機能しなくなり、麻痺が起こるということです。

麻痺の検査とその評価

障害程度の診断では、40点法(柳原法)を中心に、House-Brackmann法、Sunnybrook法など、顔面運動の評価法によっておこなわれますが、麻痺の重症度と予後は必ずしも一致しないことがあり、完全麻痺の状態のなかにも予後良好の患者さんもいますので予後診断が必要となります。

現在、世界的に用いられている評価法として、顔面各部位の動きを評価し、その合計で麻痺程度を評価する部位別評価法の40点法(柳原法)と、顔面全体を概括的にとらえて評価する方法のHouse-Brackmann法があります。
もともと、40点法(柳原法)はBell麻痺(ベル麻痺)とHunt症候群(ハント症候群)の麻痺を評価するために作成された評価法で、House-Brackmann法は、聴神経腫瘍手術後の麻痺を評価するために考案された評価法です。これら以外の評価法として、後遺症の評価に重点をおいたのがSunnybrook法です。

40点法(柳原法)

40点法(柳原法)とは、顔面神経麻痺の症状が現れるBell麻痺(ベル麻痺)とHunt症候群(ハント症候群)の麻痺を評価する目的で作成された評価法で、顔面各部位の動きを評価し、その合計で麻痺程度を評価する方法です。

評価は、安静時の左右対称性と、9項目の表情運動を4点(ほぼ正常)、2点(部分麻痺)、0点(高度麻痺)の3段階で評価し、2023年版で改定された基準として、40点満点で12点以上を不全麻痺、10点以下を完全麻痺と定義しています。
あるいは、20点以上を軽症、18〜12点を中等度、10点以下を重症としています。

表情運動とは、額のしわ寄せ、軽い閉眼、強い閉眼、片目つぶり、鼻翼を動かす、頬を膨らます、イーと歯を見せる、口笛、口をへの字にまげる の動作のことです。

ほぼ
正常
部分
麻痺
高度
麻痺
ほぼ
正常
部分
麻痺
高度
麻痺
ほぼ
正常
部分
麻痺
高度
麻痺
安静時
非対称
4 2 0 片目
つぶり
4 2 0 イーと
歯を見せる
4 2 0
額の
しわ寄せ
4 2 0 鼻翼を
動かす
4 2 0 口 笛 4 2 0
軽く目を
閉じる
4 2 0 頬を
膨らます
4 2 0 口をへの
字にまげる
4 2 0
強く目を
閉じる
4 2 0 合計 点
4点:左右差がない、またはほとんどない(ほぼ正常)
2点:明らかに左右差があるが、患側の筋収縮がみられる(部分麻痺)
0点:筋収縮が全くみられない(高度麻痺)
共同運動
拘  縮
顔面痙攣
ワニの涙
(0,1,2,3)
(0,1,2,3)
(0,1,2,3)
(0,1,2,3)
発症年月日: 検査日:

表:40点法(柳原法)
評価:20点以上 軽症、18~12点 中等症、10点以下 重症

誘発筋電図(ENoG)

顔面神経麻痺において、神経変性の程度を把握する検査では、検査法の簡便性、検査時間の長さ、予後早期診断法としての正確性から表面電極による記録を用いた誘発筋電図(ENoG)が,最も正確な検査法として用いられています。
しかし、神経変性は障害部位から末梢に進むために、発症早期には神経変性を正確に診断することはできません。
Bell麻痺(ベル麻痺)とHunt症候群(ハント症候群)の場合、障害部位は膝神経節であるが、電気刺激が可能な茎乳突孔より末梢において神経変性が完成するには7日〜10日を要するので、この期間には正確な予後診断はできず、それ以降の時期に検査が必要となります。

以上の検査法を利用して、顔面神経麻痺の病態を把握する基準は以下の通りです。

(神経変性には軸索断裂と神経断裂の2種類があります。そして、神経断裂は神経線維内膜まで断裂しているために、再生時に従来の表情筋の経路と異なった無秩序の迷入再生が起こり、後遺症の1つである病的共同運動が生じます。 ENoGの結果と、後遺症の原因となる神経断裂繊維数はほぼ一致しています。)

ENoG値 ≧ 40% 後遺症なく1か月以内に治癒する
40% > ENoG値 ≧ 20% 2ヵ月以内に治癒するがわずかに後遺症が残ることがある
20% > ENoG値 ≧ 10% 4ヵ月以内に治癒するがわずかに後遺症が残る可能性が高まる
10% > ENoG値 半数は治癒せず、治癒しても6ヵ月以上必要で、後遺症が残る

後遺症の予防、または後遺症軽減の臨界期

Bell麻痺(ベル麻痺)やHunt症候群(ハント症候群)では、膝神経節病変の変性部位変性が起こるのとほぼ同時に神経再生も起こり始めます。
ENoG値 < 40% では、神経断裂繊維を含んでいることから迷入再生が起こります。再生繊維が表情筋に到達し始めるのは3〜4ヶ月ですが、すでにこの間に迷入再生は進行しています。この時、神経再生を促進させていいのは脱髄と軸索断裂繊維です。神経断裂繊維の再生を促進することは4ヶ月後に後遺症である病的共同運動と拘縮を形成することになるため、少なくとも発症から3ヶ月間は表情筋の協力で粗大な収縮(強力な随意運動や神経筋電気刺激)を避ける必要があります。

鍼灸院における鍼灸治療においても同様のことが言えますので、患者さんには、麻痺しているからといって、動くようになるよう無理にご自身で筋肉を動かすことを控えるよう指導していますし、神経筋電気刺激に相当する顔面部に対する低周波治療や鍼通電治療は行いません。

しかし、これら以外の鍼灸治療は、自分で正しい方向に治療するための力(自然治癒力)を促進することができ、顔面神経麻痺の障害部位を選択して治療することができるため、回復の可能性は高まります。
また、上記にご紹介した検査方法の評価では、細かな部分の状態が把握できません。麻痺から回復している患者さんほど、「ここのこの動きが」など、細かな動きの支障が気になってしまいます。鍼灸治療では、このような細かな部分的麻痺に対しても対応することができます。

Bell麻痺(ベル麻痺)

Bell麻痺(ベル麻痺)とは

Bell麻痺(ベル麻痺)とは、顔の神経を動かす神経である顔面神経が急に機能しなくなり、まぶたが閉じられなくなったり、口元が垂れ下がったりする原因不明の顔面神経麻痺です。

顔面神経麻痺の中で、Bell麻痺(ベル麻痺)の占める割合は、約55%と最も多くみられる病気です。

Bell麻痺(ベル麻痺)の原因

Bell麻痺(ベル麻痺)は、原因不明の顔面神経麻痺をさしていますが、以前より、血管説、アレルギー説、ウイルス説など推測されていながらも明らかになっていませんでした。
しかし、近年、最も有力な原因として考えられているのがウイルス説です。
日本顔面神経研究会が提唱する顔面神経麻痺の手引き(2023)では、Bell麻痺(ベル麻痺)の原因のほとんどがHSV-1(1型単純ヘルペスウイルス)としてあげられています。また、そのうち一部、水疱の現れないZSH(無疱疹性帯状疱疹)が10〜20%含まれています。

Bell麻痺(ベル麻痺)の症状

Bell麻痺(ベル麻痺)の症状には、片側の、目を閉じられない、額にシワを寄せられない、頬を膨らませられない、口笛が吹けない、イーと歯を見せられない、お茶を飲もうとすると口元からこぼれてしまうなどがあります。

その他、舌や口の中で味覚が変わってしまう、涙や唾液の異常分泌という症状も現れることがあります。

Hunt症候群(ハント症候群)

Hunt症候群(ハント症候群)とは

Hunt症候群(ハント症候群)とは、耳性帯状疱疹ともいわれ、片側の耳介、外耳道およびその周囲、もしくは軟口蓋(口の中)に痛みを伴う水疱(帯状疱疹)と共に、顔面神経麻痺と難聴や耳鳴り、めまいが現れる病気です。
顔面神経麻痺の中では、約14%の割合を占めています。
Hunt症候群(ハント症候群)は、難聴も顔面神経麻痺も症状が非常に強く出てしまうため、完全には治りにくい病気で、発症から一日でも早く治療にとりかからなければなりません。

Hunt症候群(ハント症候群)の原因

Hunt症候群(ハント症候群)の原因は、水疱瘡(水ぼうそう)です。
多くは子供の頃にかかった水疱瘡(水ぼうそう)のウイルスであるVZV(水痘帯状疱疹ウイルス)が神経節(神経細胞が集合している場所)にひっそりと住み着き続け、ストレスが溜まったとき、抵抗力が低下したときに再活性するからです。

Hunt症候群(ハント症候群)の症状

Hunt症候群(ハント症候群)の症状は、まず耳やその周りに鈍痛と共に水疱が現れます。同時に、高度(重症)の難聴やめまいなど内耳神経(第Ⅷ脳神経)に関係する症状が現れます。
また、顔面神経膝神経節に潜伏感染しているVZVが再活性することにより、顔面神経麻痺として症状を現します(第Ⅶ脳神経)。
症状が強い場合、主に顔の知覚を司る三叉神経(第Ⅴ脳神経)領域を侵し、強い耳の痛みや嚥下(物を飲み込む)痛を生じたりします。

反回神経麻痺(声帯麻痺)、声帯障害(発声障害)

反回神経麻痺(声帯麻痺)とは

反回神経麻痺(声帯麻痺)とは、声帯の動きを支配している反回神経が麻痺を起すことで、呼吸困難や、喘鳴(ゼーゼーした呼吸音)、誤嚥(食べ物を飲み込むときに間違って食べ物が気道に入ってしまう)、声がれ、会話中にむせるような症状が出てしまいます。
また、夜、寝ているときに激しいいびきのような症状があらわれ家族に指摘され気づくときもあります。一般的には反回神経麻痺のことを声帯麻痺と呼ぶことが多いです。

声帯の機能

声帯は左右にあり、発声時には、中央方向に近寄って気道が狭くなり、振動することで声が出ます。また、飲食時には、嚥下(飲み込む)したものが気管に入り込まないように声帯は気道を完全にふさいでしまいます。

麻痺の原因

反回神経麻痺(声帯麻痺)の原因には、頸静脈孔腫瘍、甲状腺腫瘍、肺癌、食道癌、乳癌などの縦隔リンパ節転移、弓部大動脈瘤などの手術の後に現れることが多いです。

これは、反回神経は迷走神経の枝が胸部から頸部にUターンして喉頭に流入していて、甲状腺に密着するように上行し気管と甲状腺との結合組織の中を通り喉頭に流入しているからです。
その他には、交通事故などの怪我、感染症、神経疾患、薬物障害、原因不明(特発性)などが原因となることもあります。
症状のあらわれ方は、手術など、麻痺の原因が起きた後すぐにあらわれる場合と、1年など時間をかけて段々と現れる場合があります。
また、片方の声帯が麻痺する場合や、左右両方の声帯が麻痺する場合もあります。

斜視・複視

斜視・複視とは

顔面神経麻痺になると、麻痺側の眼球運動、つまり目玉の動きがおかしくなることがあります。
眼球を動かす一部の筋肉が麻痺したことにより、 例えば物を見る時、正常な場合は右の目玉と左の目玉が同じものを見ようとして一点に焦点を合わせるために同期して動くものです。

※正常な物の見え方

しかし、眼球を動かす一部の筋肉が麻痺を起してしまうと、焦点を合わせようとしても、同期せず、右と左でバラバラな動きを起こしてしまい、物が二重に見えてしまいます。寄り目をしたことがある人はご存知かと思いますが、寄り目をすると目に入るものは二重に見えてしまうものです。

※物が二重に見える複視の見え方

顔面神経麻痺の症状では、ある一定の距離、範囲でこの症状があらわれることがあります。特に多いのは麻痺した方の外側の下を見た時にだけ二重に見えてしまいます。

症状がひどいと、まっすぐ向いていても焦点が合わない、他人が麻痺をおこした患者さんを見た時に、麻痺した方の目だけ寄っているように見えます(斜視)。

似たような症状では、麻痺患者さんが目を閉じた時、麻痺側のまぶたが閉じないと同時に目玉が上に移動してしまう、いわゆる白目を向いた状態になってしまいます。

眼球運動の障害の出現率は、顔の表情の麻痺の程度とほぼ比例するので、顔の表情に麻痺が強く認められれば、目の症状も強くあらわれます。

以上のような症状は、鍼灸治療の適応になりやすく、今までの鍼灸治療の経験では、顔の表情にあらわれた麻痺よりも回復しやすい傾向にあります。

口腔内灼熱症候群・舌痛症

口の中が焼ける・舌先が痛い

口の中が焼けるように痛くなる、チクチクと感じる症状でお悩みですか?それは、口腔内灼熱症候群かもしれません。
日本頭痛学会が基準としている国際頭痛分類第3版では、口腔内灼熱症候群を

「3ヵ月を超えて、かつ1日2時間を超えて連日再発を繰り返す、口腔内の灼熱感または異常感覚で、臨床的に明らかな原因病変を認めないもの。」

と定めています。

また、舌だけが痛い舌痛症は、国際頭痛分類第3版では、口腔内灼熱症候群の名前で中枢性顔面痛の一つとして分類されています。

口腔内灼熱症候群は女性に多い

口腔内灼熱症候群は、50~70歳代の閉経周辺、閉経後の女性に最も多くみられますが、もともとの原因のひとつにその他の年代の男性にも症状はあらわれています。

治療は抗うつ薬

病院での治療としては、抗うつ薬を始めとする薬物療法がありますが、約3割の人が症状に変化がないという統計もあり、症状が改善する手段がなく日々悩みながら過ごしている方も少なくありません。

当院の耳鼻疾患専門外来では、難聴や麻痺だけでなく、口の中や舌が焼けるように痛く、いくつも医療機関をまわったけど原因がわからない、もしくは良くならないと来院されるケースが多々ありました。

鍼灸治療は、器質的原因がない口腔内灼熱症候群、舌痛症のような知覚異常にも適応しており、抗うつ薬で良くならなかった症状に対しても改善が見込めます。

すでに医療機関で口腔内灼熱症候群や舌痛症と診断を受けている患者さんにとっては1日でも早く専門の鍼灸治療を受けていただきたいと思います。

顔面神経麻痺に対する治療

ここでは、主に末梢性顔面神経麻痺であるBell麻痺(ベル麻痺)とHunt症候群(ハント症候群)についての治療法をご紹介します。

抗ウイルス薬

Bell麻痺(ベル麻痺)とHunt症候群(ハント症候群)は、どちらもウイルスの再活性によるものであり、HSV-1(単純ヘルペスウイルス1型)、VZV(水痘帯状疱疹ウイルス)、ともにウイルスの増殖を抑えるため、抗ウイルス薬を使用しています。

ステロイド

顔面神経麻痺は、顔面神経管の中で膝神経節が炎症性神経浮腫、絞扼、虚血を起こしているため、これらの症状を軽減するステロイドを使用します。ステロイドは、顔面神経麻痺に対する治療の第一選択で、治療の推奨度もAになっています。

そして、上記以外に、神経再生を促進させるためのビタミン剤や血流循環薬を使用します。 急性期の治療目的は、どちらの疾患も神経の再生を促進させることではなく、変性を防止すること、そのために、一刻も早く、側頭骨骨管内(顔面神経管内)で起こっている炎症、浮腫を改善させなければなりません。

顔面神経減荷術

顔面神経減荷術は、真珠腫性中耳炎や側頭骨の骨折が原因の顔面神経麻痺や薬物療法の効果が見られない時などに手術治療を検討します。

顔面神経減荷術は、炎症によって腫れて骨の中で締めつけられ血流も悪くなった顔面神経を、主に神経周囲の骨を削ることで圧迫から開放して血流の改善を図り、神経の変性をくいとめて顔面神経麻痺を治療します。

顔面神経麻痺のガイドラインでは

発症1週間以降2週間以内の高度麻痺で40点法で8点以下、ENoG値で10%以下、内科的治療が無効であると判断された場合
 ※顔面神経麻痺診療の手引

とされています。
発症後2か月以上経過してしまった場合は神経が変性してしまうため、手術の適応にはなりません。

ただ、手術をおこなったからといって完治するわけでもありません。当院には、顔面神経麻痺やまぶたのけいれんなどのために減荷術をおこない、その後顔のこわばりや病的共同運動など後遺症でお悩みの患者さんが来院することがあります。もともと評価が低く、少なからず神経断裂をおこしているので、後遺症があらわれてもおかしくありません。

患者さんとしては、症状の改善、QOLの向上、安心を求めるのがあたりまえのことですし、少しでも改善を追求することが本当の医療であり鍼灸治療の役目だと考えます。

星状神経節ブロック

星状神経節ブロックとは、ノドの横にある星状神経節という部分に麻酔注射もしくは、レーザーをあてる治療法です。
星状神経節とは、下頚交換神経節と第1胸部交感神経節が癒合した神経節で、その支配領域は頭部、顔面部、頚部および上胸部となります。
頭頚部交感神経系の緊張亢進は、顔面神経の微小循環を障害する可能性を指摘されていて、さらに、交感神経の過緊張によって障害された顔面神経の微小循環は緊張の解除により回復する可能性があるとされています。
星状神経節ブロックをおこなうことで、顔面神経麻痺の病変部の血管を拡張させ、虚血を改善させる働きがあり、変性の進行を阻止することが期待されています。
特に、妊娠中の女性、小児、重症糖尿病患者さんなど、ステロイドを使用できない場合、およびステロイド使用によって高血圧を誘発した場合(発症頻度20%、高齢者は約2倍)、ステロイドによって胃酸分泌の亢進、胃粘液分泌の減少を引き起こし胃潰瘍を誘発した場合には、ステロイドの代わりに星状神経節ブロックを使用することがあります。

※鍼灸治療の場合、鍼治療の鍼を使用して物理的な星状神経節ブロックをおこなうことも可能です。
ただ、この治療法は単純な考え方でおこなっているため、治療効果としては不十分なものとなります。
鍼灸治療の良いところは、レーザーより安全で奥深い部分があります。鍼灸治療が体全体にもたらす効果は、科学的にみると、様々な病気の回復に必要不可欠な自律神経のバランスを整えることもできます。これは、物理的な交感神経抑制刺激とは違い、神経興奮が過剰なところは抑え、神経興奮が低下して支障が出ているものに対しては興奮を高めてくれる効果があります。
自律神経は大きく分けると、交感神経と副交感神経に分かれ、それぞれが活動しています。鍼灸治療をおこなうと、この2つの自律神経の機能を高めてくれる効果があります。

表情筋伸張マッサージ

表情筋伸張マッサージとは、神経断裂線維の再生過程で、迷入再生を促進させてしまう強力で粗大な随意運動や神経筋電気刺激(低周波療法)のかわりとして表情筋線維に対し水平に伸張する手技です。少しコツがありますので顔面神経麻痺専門家の指導が必要です。

ボツリヌス毒素

「しわ」や「わきが」など美容業界でもよく使用されるボトックス注射、この注射をおこなうことで、顔面神経麻痺の後遺症である顔面拘縮や病的共同運動を軽減させる働きがあります。この注射をするタイミングは、顔面拘縮や病的共同運動が完成する発症から8〜10ヶ月以降、ある程度筋力強化をした後になりますので、発症から1年以上後におこなうことがあります。

鍼灸治療

当院でおこなう、顔面神経麻痺に対する鍼灸治療は、発病してすぐの急性期から、数か月〜数年経過した状態でも治療対応可能です。
当院の専門的な治療は、最新の顔面神経麻痺ガイドラインに沿って行うため、損傷した表情筋、顔面神経に対して、髪の毛より細い使い捨ての鍼で優しく、より効果的に治療することができます。
麻痺に対する局所的な治療では、様々な検査結果を基準にしておこないますが、現在使用している、40点法やSunnybrook法の評価では細かく診断できません。そのため、当院では、患者さんが普段の生活で症状が気になる時の状態を聞き、治療前毎に確認しながらさらに細かく評価し、治療部位を変えながらおこなうこともあります。
また、禁忌となっている、迷入再生を促進させてしまう強力で粗大な随意運動や神経筋電気刺激(低周波療法)を顔面部におこないません。

※美容目的の鍼とは全く異なります。

顔面神経麻痺に対する低周波療法について

最近では、家電量販店でも家庭用の低周波治療器具が販売されています。一般的には、整形外科や整骨院、鍼灸院において、様々な疼痛などの治療として低周波治療を行うことがあります。
低周波による神経筋刺激は、肩こりや腰痛、足の捻挫、腱鞘炎、五十肩など四肢体幹(手足と胴体)の筋肉に対して、筋収縮を起こすことで骨格筋の神経再生を促進させる治療法として有効とされています。
低周波以外に、骨格筋の神経再生を促進させる治療法として、強力な随意運動(自分で意識して筋肉を動かすこと)があります。
しかし、ENoG値 < 40% {または40点法(柳原法)で発症4週間で10/40 点以下} の顔面神経麻痺に対して低周波や強力な随意運動をおこなうことは、粗大で強力な筋収縮を誘発するために神経断裂繊維の迷入再生も促進してしまい、病的共同運動の原因になってしまいます。さらに、顔面神経核の興奮性亢進をいっそう促進して筋短縮による顔面拘縮を助長してしまいます。

もともと、人間は、まぶただけみても生理現象の一つとして、1分に10回以上、1日にすると10000回以上まばたきをしています。
そのため、何もしなくても1日中まぶたを酷使しているため、一生懸命顔を動かす練習をすることは麻痺を悪化させることにつながります。
また、顔面神経麻痺の予後診断法として最も正確な検査法であるENoG(電気生理学的検査)であっても、障害された神経を生検しているわけではないことから、当院では、ENoG値 < 40% {または40点法(柳原法)で発症4週間で10/40 点以下}より評価が高くても、麻痺(表情筋)に対して低周波治療は行わないようにしています。それは、顔面神経麻痺以外の病気、症状に対しても、低周波治療より、鍼灸治療の方が効果的だからです。

顔面神経麻痺の後遺症

顔面神経麻痺の後遺症には、①病的共同運動、②顔面の拘縮、③ケイレン、④ワニの涙、⑤アブミ骨筋性耳鳴り などがあり、麻痺発症6ヶ月頃から発症することが多いです。

病的共同運動

病的共同運動とは、後遺症の中で最も多くみられる症状で、会話や食事中に口の動きと同時にまぶたがぱちぱちと動いてしまう、またはその逆に、目を閉じようとしたときに口元が一緒に動いてしまう現象です。これは、神経再生時に、隣接する神経線維が誤ってつながれてしまうこと(迷入再生)により過誤支配が起こるからです。

拘縮

拘縮とは、顔のこわばりのことです。後遺症として麻痺が残っているだけでなく、筋肉が固くなって余計に動かしにくくなります。
拘縮は、病的共同運動同様、迷入再生による過誤支配により、拮抗筋同士の収縮が考えられます。

ケイレン

ケイレンは、自分の意志と関係なく、眉毛や、口元のあたりなどが勝手にピクピクと動いてしまうことです。ケイレンは、再生線維の髄鞘形成が不十分であるために絶縁を失った神経線維間でショートしてしまうエファプス(非シナプス結合)が起こり、刺激が隣接する複数の軸索に伝達されるからです。

ワニの涙

ワニの涙は、顔面神経麻痺により、食事中、涙が出てしまう現象で、表情筋運動線維と、涙を出すための分泌副交感神経線維が神経伝達の方向を誤ってしまうために起こります(迷入再生による過誤支配)。

アブミ骨筋性耳鳴り

アブミ骨筋性耳鳴りは顔面の表情筋の動きに伴い、不快な耳鳴りが生じる現象です。
これは、表情筋支配の運動線維と、アブミ骨筋神経線維の過誤支配によるものです。

ワニの涙とアブミ骨性耳鳴りは、病的共同運動や拘縮より早く現れることが多い傾向にあります。

日本顔面神経学会参加状況

平成28年 大阪で開催された講習会

平成28年 大阪で開催された講習会

平成27年 東京大学で開催された講習会

平成26年 東京池袋で開催された講習会

平成25年 沖縄県那覇市で開催された講習会

平成24年 福島県猪苗代市で開催された講習会

当院では、顔面神経麻痺に対する正しい知識を習得し、最新の情報を取得するため、平成22年より毎年開催している
「顔面神経麻痺リハビリテーション技術講習会」 、及び
「日本顔面神経研究会(H27より顔面神経学会に名称変更)」
に参加して、新たに得たものを治療現場にフィードバックしております。

写真は平成24年から発行されている顔面神経麻痺リハビリテーション技術講習会の受講終了証です。

すべてを公開していませんが、毎年参加して情報をアップデートしています。

メディア情報

東洋医学鍼灸ジャーナル 2012年1月号

ヘルペスに関する臨床の場での症例報告と解説が東洋医学鍼灸ジャーナル 2012年1月号に「症例クローズアップ:ヘルペスへのアプローチ」特集として掲載されました。 (88ページから93ページまでの合計6ページ)

ヘルペスと言っても、疲れたときに口の周りに現れる口唇ヘルペス、子供のころの水疱瘡、大人になって再燃する水疱瘡(帯状疱疹)、など、症状の原因や、現れる場所は様々です。また、蕁麻疹や、手湿疹、アトピーなど、似たような症状との鑑別も重要となってきます。
特に帯状疱疹の場合、治療法がないといわれている、帯状疱疹後神経痛が現れる場合もあります。また、難聴と顔面神経麻痺を併発するハント症候群という病気もあります。
病院での治療はステロイドや、抗ウイルス薬が一般的ですが、人間が本来持っている免疫力を低下させてしまうので、使用するにしても限度があります。
そんな時に、有効な治療法が、免疫力をあげ、苦痛となっている症状を改善していく鍼灸治療です。
今回の記事を一人でも多くの方に読んでいただくことで、ヘルペスに対しての治療法の一つとして「鍼灸治療」があることを広く知っていただければと考えています。

東洋医学鍼灸ジャーナル 2008年11月号

剛鍼灸院 院長を務める岩ヶ谷(いわがや)がこれまで培ってきた突発性難聴に関する臨床の場での症例報告と解説が、東洋医学鍼灸ジャーナル 2008年11月号に「症例クローズアップ:突発性難聴へのアプローチ」特集として掲載されました。
(76ページから83ページまでの合計8ページ)

突発性難聴の患者さんは全国で3万人ほどと言われています。
難聴に対する鍼灸の有用性はWHO(世界保健機関)でも認められているにも関わらず、実際には難聴を主に取り扱う鍼灸院が非常に少なく、また、それ以前に鍼灸を知らない方々が多いという現実があります。

鍼灸治療によって回復が見込める患者さんが多いにも関わらず、「怪しい」とか「痛そう」といったイメージから鍼(はり)やお灸が治療の際の選択肢に挙がらないのです。

今回の記事を一人でも多くの方に読んでいただくことで、突発性難聴回復のための有効な治療法の一つとして「鍼灸治療」があることを広く知っていただければと考えています。

東洋医学鍼灸ジャーナル 2008年9月号

6月29日に大阪で開催された治療院経営セミナーにて、剛鍼灸院 総院長の斉藤と院長の岩ヶ谷が行った突発性難聴に関する発表が「東洋医学鍼灸ジャーナル 2008年9月号」に掲載されました。

突発性難聴の患者さんは日本全国で3万人ほどと言われています。
しかし、WHO(世界保健機関)でも難聴に対して鍼灸の有用性は認められているものの、難聴を主に取り扱っている鍼灸院が非常に少ないという現実があります。

今回のセミナーでは耳鼻科疾患の中でも特に難聴を専門とする院長の岩ヶ谷が中心となり、難聴患者さんのため、少しでも難聴を克服できる人が増えるようにと、今までの経験から難聴の治療法や実際の臨床での経験談を講義しました。

顔面神経麻痺に関する講義

2014年8月24日 NPO全国鍼灸マッサージ協会兵庫支部にて

剛鍼灸院 院長:岩ヶ谷 広晃がハント症候群やベル麻痺など、顔面神経麻痺に関する基礎知識と鍼灸治療の講義をしました。
耳鼻科領域の疾患は、突発性難聴、メニエール病など、耳鳴り、めまい、難聴が現れるものだけではなく、顔面神経領域も含まれます。

顔面神経麻痺は世界的にも研究が進められているところで、米国神経学会(AAN)は、2014年12月17日付Neurology誌で、18歳以上の13万6704人を片頭痛の有無でグループ分けし、平均で3年間追跡した結果、、ベル麻痺と診断されたのは片頭痛あり群では671人、片頭痛なし群で365人と発症リスクは片頭痛あり群で約2倍、片頭痛によって顔面麻痺の一種となるベル麻痺の発症リスクが増大することを示す研究結果を紹介しました。

講義では、顔面神経に関係する解剖学、その中でも骨格筋と表情筋の違いや、新しく公開された顔面神経麻痺のガイドラインと、鍼灸治療の立ち位置を解説。
そして、鍼灸院での臨床経験をふまえて実際の症状から、鑑別方法と、医療機関での治療法、予後の推定や注意点、発症からの経過、重症度による違いを柳原40点法の検査を実際に行いながら解説しました。

2014年7月12日 事業協同組合 全国鍼灸マッサージ師協会主催

第6期東洋医療臨床技術大学校アカデミー にて
剛鍼灸院 院長:岩ヶ谷 広晃がハント症候群やベル麻痺など、顔面神経麻痺に関する基礎知識と鍼灸治療の講義をしました。
耳鼻科領域の疾患は、突発性難聴、メニエール病など、耳鳴り、めまい、難聴が現れるものだけではなく、顔面神経領域も含まれます。
代表的な疾患としては、顔面神経麻痺のみが生じるベル麻痺や、帯状疱疹、難聴を併発するハント症候群が大半を占めます。
講義では、顔面神経に関係する解剖学、生理学の解説、その中でも骨格筋と表情筋の違いや、新しく公開された顔面神経麻痺のガイドラインと、鍼灸治療の立ち位置を解説。
そして、来院される患者さんの実際の症状から、鑑別方法と、医療機関での治療法、予後の推定や注意点、発症からの経過、重症度による違いを柳原40点法の検査を実際に行いながら解説。

鍼灸治療では、ガイドライン上、治らないとされている固定の時期に入っても、改善されるケース、治療法があります。正しい知識と、正しい技術さえ備わっていれば、笑顔が戻る患者さんも増えていきます。
患者さんの将来を考え、私たちにできることを最大限行っていかなければなりません。

2014年7月12日 事業協同組合 全国鍼灸マッサージ師協会主催

第6期東洋医療臨床技術大学校アカデミー にて
剛鍼灸院 院長:岩ヶ谷 広晃が難聴の基礎知識と鍼灸治療の講義をしました。

難聴は、突発性難聴、メニエール病など、耳鳴り、めまい、難聴が現れるものだけではなく、顔面部の麻痺が生じ、帯状疱疹、難聴を併発するハント症候群があるため、鑑別の観点から重要になってきます。
講義では、聴力に関係する解剖学、生理学の解説、中耳炎などの伝音性難聴と、突発性難聴などの感音性難聴の違いを解説。その上で、鍼灸治療に可能なことを紹介しました。 実技では、実際に来院される患者さんの症状から、鑑別方法と、予後の推定や注意点、発症からの経過、治療法と注意点を説明しながらおこないました。

2014年4月13日 事業協同組合 全国鍼灸マッサージ師協会主催

第5期東洋医療臨床技術大学校アカデミー にて
剛鍼灸院 院長:岩ヶ谷 広晃がハント症候群やベル麻痺など、顔面神経麻痺に関する基礎知識と鍼灸治療の講義をしました。
耳鼻科領域の疾患は、突発性難聴、メニエール病など、耳鳴り、めまい、難聴が現れるものだけではなく、顔面神経領域も含まれます。
代表的な疾患としては、顔面神経麻痺のみが生じるベル麻痺や、帯状疱疹、難聴を併発するハント症候群が大半を占めます。
記憶に新しいところでは、中日監督だった落合博満さん、アカペラグループ(RAG FAIR)の奥村政佳さんらが顔面神経麻痺になったことを告白しています。
講義では、顔面神経に関係する解剖学、生理学の解説、その中でも骨格筋と表情筋の違いや、新しく公開された顔面神経麻痺のガイドラインと、鍼灸治療の立ち位置を解説。
そして、実際の症状から、鑑別方法と、医療機関での治療法、予後の推定や注意点、発症からの経過、重症度による違いを柳原40点法の検査を実際に行いながら解説。

鍼灸治療では、ガイドライン上、治らないとされている固定の時期に入っても、改善されるケース、治療法があります。正しい知識と、正しい技術さえ備わっていれば、笑顔が戻る患者さんも増えていきます。
患者さんの将来を考え、私たちにできることを最大限行っていかなければなりません。

2014年4月13日 事業協同組合 全国鍼灸マッサージ師協会主催

第5期東洋医療臨床技術大学校アカデミー にて
剛鍼灸院 院長:岩ヶ谷 広晃が難聴の基礎知識と鍼灸治療の講義をしました。
難聴は、突発性難聴、メニエール病など、耳鳴り、めまい、難聴が現れるものだけではなく、顔面部の麻痺が生じ、帯状疱疹、難聴を併発するハント症候群があるため、鑑別の観点から重要になってきます。
講義では、聴力に関係する解剖学、生理学の解説、中耳炎などの伝音性難聴と、突発性難聴などの感音性難聴の違いを解説。その上で、鍼灸治療に可能なことを紹介しました。
実技では、実際に来院される患者さんの症状から、鑑別方法と、予後の推定や注意点、発症からの経過、治療法と注意点を説明しながらおこないました。

2013年2月9日 事業協同組合 全国鍼灸マッサージ師協会主催

第4期東洋医療臨床技術大学校アカデミー にて
剛鍼灸院 院長:岩ヶ谷 広晃がハント症候群やベル麻痺など、顔面神経麻痺に関する基礎知識と鍼灸治療の講義をしました。
耳鼻科領域の疾患は、突発性難聴、メニエール病など、耳鳴り、めまい、難聴が現れるものだけではなく、顔面神経領域も含まれます。
代表的な疾患としては、顔面神経麻痺のみが生じるベル麻痺や、帯状疱疹、難聴を併発するハント症候群が大半を占めます。
記憶に新しいところでは、中日監督だった落合博満さん、アカペラグループ(RAG FAIR)の奥村政佳さんらが顔面神経麻痺になったことを告白しています。
講義では、顔面神経に関係する解剖学、生理学の解説、その中でも骨格筋と表情筋の違いや、新しく公開された顔面神経麻痺のガイドラインと、鍼灸治療の立ち位置を解説。
そして、実際の症状から、鑑別方法と、医療機関での治療法、予後の推定や注意点、発症からの経過、重症度による違いを柳原40点法の検査を実際に行いながら解説。

鍼灸治療では、ガイドライン上、治らないとされている固定の時期に入っても、改善されるケース、治療法があります。正しい知識と、正しい技術さえ備わっていれば、笑顔が戻る患者さんも増えていきます。
患者さんの将来を考え、私たちにできることを最大限行っていかなければなりません。

2013年2月9日 事業協同組合 全国鍼灸マッサージ師協会主催

剛鍼灸院 院長: 岩ヶ谷 広晃が難聴治療の講義をしました。

耳鼻科領域の疾患には、中耳炎や突発性難聴、メニエール病など、耳鳴りやめまい、難聴の症状が現れるものがあります。
まずは、聞こえに関する解剖、生理の解説。聞こえのメカニズムを音や動画を使用して講義しました。

各論では、外耳疾患、中耳疾患、内耳疾患と、部位別に解説、内耳疾患の突発性難聴やメニエール病には、特徴的症状から西洋医学的な治療法の解説。 他覚的所見として確認しやすい、めまいに伴う眼振(目のふるえ)の見方や聴力検査の見方、平均聴力の計算方法、音叉を使った検査法、実際の周波数別の音を聞いてもらいました。
年々、増加傾向にある突発性難聴を発症する患者さん。講義の2日前にもモデルの松岡里枝さんが、その胸中を自身のブログで告白。数か月前には脚本家の北川悦吏子さん、スガシカオさん、ハウンドドッグの大友康平さんもその胸中を自身のブログで告白しています。
ただ、現在、鍼灸師の中でも治療を敬遠されやすい難聴という症状を、少しでも取り扱ってくれる鍼灸院が増えれば、難聴で苦しむ患者さんが減る手助けとなるのではないでしょうか。

2012年3月10日 事業協同組合 全国鍼灸マッサージ師協会主催

第3期東洋医療臨床技術大学校アカデミー にて
剛鍼灸院 院長:岩ヶ谷 広晃がハント症候群やベル麻痺など、顔面神経麻痺に関する基礎知識と鍼灸治療の講義をしました。

耳鼻科領域の疾患は、突発性難聴、メニエール病など、耳鳴りやめまい、難聴の症状が現れるものだけではなく、顔面神経領域も含まれます。
この顔面神経は、運動神経だけでなく、味覚や聴覚にも影響を及ぼしてしまうため、臨床の場では重要となる知識となります。
代表的な疾患としては、顔面神経麻痺のみが生じるベル麻痺や、帯状疱疹、難聴を併発するハント症候群が鍼灸院の現場では大半を占めます。
まずは、顔面神経に関係する解剖学の解説と、生理学の解説、その中でも骨格筋と表情筋の違いや、新しく公開された顔面神経麻痺のガイドラインと、鍼灸治療の立ち位置を解説しました。
各論では、実際の症状から、鑑別方法と、医療機関での治療法、予後の推定、や注意点、ガイドラインに沿った、発症からの経過、重症度による違いを説明しました。
顔面神経麻痺は、審美的な観点からも、特に女性の患者さんにとっては注意が必要になります。
麻痺が現れている顔を見られたくないばかりに、受診が遅れるケースも少なくありません。
現在の状態を説明、これから起こりうる症状の変化を患者さんに説明し、治療の必要性を理解していただかなければなりません。

2012年3月10日 事業協同組合 全国鍼灸マッサージ師協会主催

第3期東洋医療臨床技術大学校アカデミー にて
剛鍼灸院 院長:岩ヶ谷 広晃が難聴治療の講義をしました。

耳鼻科領域の疾患は、中耳炎や突発性難聴、メニエール病など、耳鳴りやめまい、難聴の症状が現れるものがあります。

まずは、聞こえに関する解剖学の解説と、生理学の解説。聞こえのメカニズムを機械や道具を使って実践しました。

各論では、外耳疾患、中耳疾患、内耳疾患と、部位別に解説、中耳炎に対しては、自覚症状や、鼓膜の状態からの鑑別方法と予後の推定、や注意点。
内耳疾患の突発性難聴やメニエール病には、特徴的症状から西洋医学的な治療法の解説。 他覚的所見として確認しやすい、めまいに伴う眼振(目のふるえ)の見方や聴力検査の見方、平均聴力の計算方法、音叉を使った検査法、実際の周波数別の音を聞いてもらいました。
そして、それらを把握したうえでの鍼灸治療法、注意点などを説明させていただきました。

年々、増加傾向にある難聴を発症する患者さん。そのなかでも、発症からの経過で、もう治らないと言われた状態でも鍼灸適応の患者さんは少なくありません。

2010年4月4日 NPO全国鍼灸マッサージ協会長野支部

「難聴治療セミナー」の講演をおこないました。
講演のテーマは「耳鼻疾患の基礎知識と実際」です。
講師として、平成22年4月より剛鍼灸院 院長 に就任した岩ヶ谷広晃が講義をしました。

耳鼻科の領域は幅広く、耳鼻疾患の治療を専門としている岩ヶ谷が得意の難聴も、難聴を引き起こす疾患はさまざまです。一般的に知られている難病の突発性難聴やメニエール病、ムンプス難聴だけでなく顔面神経麻痺を併発するハント症候群, 聴神経腫瘍などがあります。

耳鼻の症状で治療院を訪れる患者さんは必ずしも耳鼻の病気が原因で耳鼻の症状が出ているとは限りません。心臓の疾患であったり、腎臓の疾患であったりさまざまです。そのため、病気、症状をそれぞれ客観的に診断しなければなりません。
今回のセミナーでは、このような鑑別方法から、基礎的な機能解剖、病理まで講義しました。
病院で治らないと言われた患者さんでも改善する確立の高い治療法が鍼灸治療です。
積極的に耳鼻疾患の治療をおこなってくれる鍼灸師を増やすためのセミナーでした。

2009年9月13日 NPO全国鍼灸マッサージ協会主催

第1期東洋医療臨床技術大学校アカデミーにて
剛鍼灸院、耳鼻疾患専門の院長 岩ヶ谷広晃が講義をしました。

耳鼻疾患とは、花粉症、蓄膿、臭覚異常など鼻の症状から難聴、耳鳴り、めまいなど耳の症状、そして顔面神経麻痺まで耳鼻疾患の領域としています。

今回はその中でも、なぜ人間は音が聞こえるのかという聞こえのメカニズムから、難聴など、耳の症状が出る時、なぜ音が聞こえなくなるのかなどを解説しました。

その後、臨床の場での症状の確認、診断の方法から治療法まで実演しました。

もともと日本国民の7パーセントしか鍼灸を経験していない状況で、鍼灸院に来院される難聴患者さんのほとんどが、長期間、病院での治療を受け、効果がなかった人、またはいろんな病院を転々として効果が得られなかった人達ばかりです。

難聴の場合、病院では4ヶ月を過ぎるころ慢性化して症状は固定されると診断します。そのため、この時期になると難聴患者さんは途方に暮れ、いろいろ治療法を探しているうちに鍼灸院へたどり着くことがほとんどです。

今回の講義をきっかけに、少しでも難聴患者さんが減っていただければ幸いです。

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