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症状別Q&A 2ページ目

双極性障害になりやすい年代はあるの

双極性障害は、20代前後の人に発症しやすい傾向があり、確実な遺伝性は確認されていませんが、病気になりやすい体質(ストレスに対する敏感さ・弱さなど)には遺伝的な側面もあると考えられています。また、一卵性双生児の場合では、50~80%の割合で二人とも双極性障害を発症する確率が高いです。

ここまでわかった双極性障害の病気

脳のMRI研究結果では、前頭葉の一部である背外側前頭前皮質と前帯状皮質という2つの部位の体積が、うつ病患者さんに比べ双極性障害患者さんの方が小さいと判明しました。また、健常者と比べて右の前帯状皮質と左下前頭皮質という部分が小さいことも示されました。
 
この研究結果にある前帯状皮質は、感情のコントロールに関わる部分で、報酬予測、意思決定、共感や情動といった認知機能に関わり、血圧や心拍数の調節のような多くの自律的機能にも関わりがあります。
 

双極性障害を発病する原因

双極性障害の原因は複合的な要因によることが多く、下記の複数の要素を含んだ問題であることがほとんどです。傾向として、うつ病よりも身体的要因など内因の割合が大きいことが特徴です。
 
そのため双極性障害は、うつ病よりも天候など自然の変化に影響されやすく、環境の変化に適応しようとする自律神経の働きが大きく関係しています。

双極性障害の種類

双極性障害では、躁とうつの間に正常な精神状態があり、また、躁状態では、激しく気分の上向いている状態を「躁状態」(双極性障害Ⅰ型)、気分の上向きが軽度である場合を「軽躁状態」(双極性障害Ⅱ型)と呼んでいます。
 
また、 Ⅰ型、Ⅱ型の区別は 「躁状態の重症度」 「深刻さ」 「激しさの違い」 にあります。

双極Ⅰ型障害
躁状態とうつ状態がほぼ同じ配分で交互に訪れます。しばし激しい躁状態が現れることもあります。

双極Ⅱ型障害
うつが優位で「うつ」が持続し、時折軽躁状態となる。「うつ病」と誤診されやすいタイプです。

気分循環障害
軽い躁状態と軽いうつ状態が交互に現れ、このような気分の不安定さが2年以上、慢性的に継続しているタイプです。Ⅱ型よりもさらに軽い症状があらわれます。

双極性障害を治す秘訣は

双極性障害の治療のポイントはドーパミンの分泌量をどうコントロールするかです。
これは、パーキンソン病の治療とリハビリに似ていますが、薬物療法では、躁状態の時にドーパミンの分泌を抑制させる目的に、抑うつ状態では、ドーパミンの分泌を増やす目的に治療します。
 
鍼灸治療の場合、これを他力ではなく自力でおこなえるように促します。
 
双極性障害は、脳のドーパミンの分泌量の異常によって引き起こされますが、自覚する症状は、自律神経の機能不全になります。
 
神経は「中枢神経」(脳と脊髄)と体中に張り巡らされている「末梢神経」に分けられます。
 
末梢神経は意思によって身体の各部を動かす「体性神経」と意思に関係なく刺激に反応して身体の機能を調整する「自律神経」に分けられます。
 
自律神経は、交感神経と副交感神経とに分けられますが、この2つの自律神経の働きのバランスが崩れると、全身的症状としてだるい、眠れない、疲れがとれないなど、器官的症状として頭痛、動機や息切れ、めまい、のぼせ、立ちくらみ、下痢や便秘、冷えなど多岐にわたります。
 
精神的症状としては、情緒不安定、イライラや不安感、うつなどの症状が現れることもあります。
 
鍼灸治療では、自覚する様々な自律神経症状を改善しつつ、根本的なドーパミンの分泌量をコントロールすることもできます。

双極性障害の治療法は

薬物療法
双極性障害の予防に有効な可能性がある薬のうち、抗精神病薬以外の薬を、気分安定薬と呼んでいます。日本で用いられている気分安定薬には、最も基本的な薬とされるリチウムがあります。
 
リチウムには躁状態とうつ状態を改善する効果、躁状態・うつ状態を予防する効果に加え、自殺を予防する効果もあります。しかし、リチウムは副作用が多く、量の調節が難しい薬でもあります。
 
気分安定薬にはリチウム以外に、元々抗てんかん薬として使われていたラモトリギン、バルプロ酸、カルバマゼピンがあります。
 
また、非定型抗精神病薬であるクエチアピン、オランザピン、アリピプラゾールも使われています。

鍼灸治療

当院の鍼灸治療では、患者さんの全体的な病状、その日の病状時期によって治療方針を組み立てます。
大きな治療方針の枠組としては、中医学による全身症状の改善、現代生理学による自律神経機能の改善、脳科学の検知から脳機能の改善をおこないます。
 
東洋医学の考え方として、本治と標治というものがあります。本治とは、病気の根本的な原因をなおすこと、そして標治は、自覚している症状を治すものです。一般的に西洋医学の治療は、標治を主におくことが多いです。
しかし、東洋医学の考え方ではどちらの治療も必要と考えており、特に双極性障害のような症状が変動する病気に対してはどちらも必要になってきます。当院の治療方針では、東洋医学的な治療法だけでは足りない部分を、現代生理学と脳科学的な治療法から補うことで、より安定して確実に症状を改善することができます。

お腹の痛みとともに、便秘や下痢などが数ヵ月以上続く病気

お腹の痛みとともに、便秘や下痢などが数ヵ月以上続くお悩みはありませんか。その悩みは、過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。
 
過敏性腸症候群の特徴は、便秘と下痢を繰り返す症状が3ヶ月以上続いていること、そして、他の検査で異常所見がみられないことです。

過敏性腸症候群の原因はストレスです。現代のストレス社会において、体におけるストレスの影響は度外視できなくなってきたということで、ストレスを受けた体の腸は、収縮運動が激しくなり、また、痛みを感じやすい知覚過敏状態になります。この状態が強いことがIBSの特徴です。

過敏性腸症候群の診断基準

現在、過敏性腸症候群の診断基準は2016年に改定されたローマⅣです。
 
また、ローマⅢからⅣに変更された最大の要点は腹部不快感を診断基準から除外したことです。

ローマⅣ診断基準
最近3ヶ月間、月に4日以上腹痛が繰り返し起こり、次の項目の2つ以上があること。
 
  • 排便と症状が関連する
  • 排便頻度の変化を伴う
  • 便性状の変化を伴う
期間としては6ヶ月以上前から症状があり、最近3ヶ月間は上記基準をみたす
 
※大腸に腫瘍や炎症などの病気がないこと

ローマⅣ:便の性状と頻度による分類

  • 便秘型硬便または兎糞状便が25%以上あり、軟便または水様便が25%未満のもの
  • 下痢型軟便または水様便が25%以上あり、硬便または兎糞状便が25%未満のもの
  • 混合型硬便または兎糞状便が25%以上あり、軟便または水様便も25%以上のもの
  • 分類不能型便性状異常の基準が上記のいずれも満たさないもの
過敏性腸症候群は、ストレスの影響で自律神経が乱れ、排便のリズム、形状が崩れてしまう病気です。そのため、ストレスの原因となる会社等が休みの日やプライベートなどにはあまり症状が出ず、ストレスの多い時期になると症状が強くなる傾向にあります。
 
診断基準にある便の状態をわかりやすく言い換えると以下のようになります。

便秘型:けいれん性便秘
便秘型は腹痛を伴い、ウサギのフンのようなコロコロした便がポタンと落ちて水に浮かびます。
 
下痢型:神経性下痢
下痢型は激しい腹痛の後、粘液性の下痢便が出ます。
朝起きてすぐ、朝食後、出かける前、電車の中、到着後など、便意をもよおす回数が多いのが特徴です。
 
混合型:交代性便通異常
以前は、過敏性腸症候群の特徴として便器と下痢を繰り返すことにありました。まさに混合型が典型的な例となります。
 
混合型は下痢と便秘を繰り返します。 便通の異常以外に食欲不振や腹部膨満感、吐き気、おなら、頭痛などを伴う場合もあります。

過敏性腸症候群の合併症

過敏性腸症候群で、注意すべき点は、合併症を引き起こしたり、症状が長期継続し、中には症状の種類が変化することがあることです。
 
一部報告によれば、たとえば、下痢型の患者さんの場合、12年後も下痢型のままの人は20%、15%の人は混合型に変化、35%の人は症状がなくなったとの報告があります(便秘型になった人はいませんでした)。
※日本消化器病学会ガイドライン

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